自分でも狂気じみている感を拭えないぐらいに、「捨てる」ことに躍起になった冬だった。着心地の悪い服、もう目を通さない書類、趣味の用品、思い出の品を写真を撮ってから捨てた。また、中学生時代から律儀に取っていたバックアップデータを削除し、もう連絡を取らない人たちを連絡帳から削除し、いくつかの LINE グループを削除した。東京に越してきた時より、何もなくなった。 それらの自分の行動を冷静に鑑みるに、「捨てる」ことに、いくつかの理由のようなものがあるようだった。1. 自分が死んだ後にモノがたくさん残るのは嫌。2. モノに獅噛み付かなければ自分を満たせないのが嫌。3. 自分が生きるのに最低限のモノはなんだろうかという好奇心。まあ、上記に挙げたのはただの後付けの理由である。最初は「なんか気持ち悪いから」というシンプルな理由だった。 天気の良い休日。ベッドと机と椅子しかないような持て余した八畳の部屋に、