Oded Tzur/Isabelaを聴いた。Oded Tzurは、元々アカデミックに学ぶほどのクラシック畑でありながら、インド音楽に目覚め、インドにまで留学したという。インド音楽には、ラーガというモードであり、音楽的哲学のミームのようなものがあり、彼の琴線に触れたということだろう。 本アルバムは、ラーガをベースにしたOded Tzurのサックスがジャズとインド音楽の間を、さながらラーガのようにたゆたいながら進んでいく。珠玉ぞろいだが、その中でも特筆すべきは、最後を飾る「Love Song for the Rainy Season」だ。冒頭は、ラーガを用いたキャッチ―なフレーズをOded Tzurが提示し、ピアノ、ベース、ドラムの各メンバーが呼応する形で展開する。冒頭の提示の段階でラーガはミームであるように、聴いた自分が衝撃を受けたように、他のメンバーも自身の音楽感を相当揺さぶられたようだ。