大村益三 @omuraji 或る日の事、友人の美術家が浮かぬ顔をしていた。公立美術館での企画展に選ばれたのだという。浮かぬ顔の理由を即座に理解した。「金が無くってね」。友人はそう言うと、酸っぱい顔が余計に酸っぱくなった。公立館の企画展だ。与えられた責務は大きく、その負担もまた小さくはない。 大村益三 @omuraji 経歴に公立館での発表実績を載せる。それは個人事業主である美術家の宣伝効果にはなる。しかしそれはまた、作家にとっては「広告費」扱いであり、決して展覧会自体で「儲かる」訳ではない。或る学芸員がこう言っていたのを覚えている。「展覧会は作家に儲けさせる為にやっているのではない」。 大村益三 @omuraji 勿論作家には幾許かの「謝礼」が支払われる。但しそれを純粋な「ギャラ」として捉える事は難しい。恐らく、多くのケースで、参加作家よりも、設営業者や運送会社の方が取り分は多い。何故なら