今回も、引き続きインドの話である。前回はインドで今も根強い「反工業化」の動きを指摘した。インドの反工業化の動きの背景には宗教的なものと、政治的なものがある。 自然との共生を尊び、資本主義には反対 宗教面で言えば、インドの主流を占めるヒンズー教は自然との共生が教義だから、基本的に生き物を大切にする。だから高速道路に牛が出てきても追い出さない。ゆっくりと勝手に出てゆくのを待つ。納期に遅れるとしても、それは別の問題。どうせ牛がいてもいなくても道路は渋滞しているのだから・・・。 ジャイナ教に至っては一切の生き物を殺すことを禁じている。私が教えている大学の留学生にジャイナ教の信者がいて、某団地に住んでいたのだが、近所からクレームがつきっぱなしだった。 それというのも、彼はゴキブリがいてもスリッパで叩くようなことはない。蚊取り線香も焚かず、ゴキブリホイホイも置かず、殺虫剤も撒かないので、自然にハエ、蚊