重工業大手がカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の手段として二酸化炭素(CO2)回収設備事業に注力している。顧客のプラントなどからCO2を回収して実質的な排出量を減らし、脱炭素につなげる。各社は回収先の多様化や、大気からの直接回収技術「DAC」の開発に取り組む。さらに回収後の産業利用、輸送や地下貯留までのCO2サプライチェーン(供給網)の構築を目指して動く。(戸村智幸) 三菱重工/プラント拡販、伊社と協業 「米国ではインフレ抑制法(IRA)でCO2回収にインセンティブが付き、ビジネスチャンスが大きい。かなり有望な技術と認められている」―。三菱重工業の加口仁副社長はCO2回収に期待をかける。2022年8月のIRA成立でCO2回収関連の設備投資を実行した場合、税控除が適用されるようになり、三菱重工にも追い風が吹く。 三菱重工はプラントの設計・調達・建設(EPC)を手がけるノウハウ