「ショア!」。右手を高々と突き上げ、花道を進むプロレスラー。 勇ましいのだが、何かがおかしい。スーツ姿で、襟に秤(はかり)が彫られた金のバッジ、左手に六法全書を持っている。煌煌(こうこう)と照らされたリングで躍動する竜剛馬選手(32)。またの名を弁護士・川辺賢一郎(本名)。リングと法廷、二つの戦場を股にかける“弁護士レスラー”だ。27日、「ラジアントホール」(横浜市中区)で行われる試合に臨む。 竜選手は、横浜弁護士会に所属する2年目の新米弁護士。日中は、横浜市内の事務所で訴状などの書類作成にあたる。仕事が終わるとジムへ直行し、水泳や筋トレで体を作る。 弁護士を志したのは中学3年の時。社会科見学で訪れた横浜地裁で、被告の緊張をほぐしながら反省の弁を引き出す弁護士の姿がかっこよく見えた。鎌倉市内の高校から東大法学部に現役合格。司法試験突破を目指し、猛勉強を始めた。 六法とにらみあう日々は充実し