カルロス・ゴーンの逃亡には、一理あるのか、 英雄なのとか、レバノン政府やフランス政府はどうするべきなのかという議論が盛んである。このことに、明快な回答などない。なぜならば、国家と個人の関係をどう捉えるのかについて難しい判断を迫る境界線上の事件だからである。 いずれにしろ、ゴーンは逃亡という日本刑法に反する行いをしたのだから、世界もけしからんと声をそろえてもらわないとおかしいといったような、単純な話でないことは明らかである。 私は同様の問題が例えば中国で日本人に起こったとしたときに、日本政府や日本人がどう考えどう行動するか、また、行動するべきであるかということを考えれば、いま多くの日本人が言っているようなとんちんかんな発想は出てこないと思う。 例えば、中国を代表するような企業が倒産寸前になったとする。ドイツの自動車メーカーから提携についての話はあったが、最低の条件は51%以上の株式取得と役員