「無観客なら営業可能」という謎の要請 4月25日から発令され、その後に期間や対象地域を拡大しながら継続している緊急事態宣言——その宣言のある内容について、ざわめきの声があがっていた。 というのも、遊園地などの娯楽施設に対して「無観客で開場するのであれば営業可能」という通達が含まれていたことだ。 いちおう断っておくが、私が文章を書き間違えているわけではない。実際にそのように書かれていたのだ。人入りが前提となっているような業態である娯楽施設は「緊急事態宣言中は人を入れなければ営業してもよい」ということなのである。 これに対して、「なにを言っているのかよくわからない」と関係各所から疑問の声があがっていた。そのような反応は至極当然だ。客を呼ばなければ利益の生じえない事業者に向かって「無観客でなら営業してよい」というのは、たちの悪い冗談か、あるいは馬鹿にしているのかと思われても仕方がないものであった
今次コロナ禍では緊急事態宣言が1都6府県に発令され、いよいよ欧米に準じる感染の爆発的拡大が喫緊の問題となってきた。焦眉の関心事は「このコロナ禍はいつ終わるのか」ということである。 ◆ 5億人感染のスペイン風邪は「絶好の教科書」 当初「夏になれば自然に終わるのでは」という楽観論があったが、低緯度地帯(マレーシア・ブラジル・インドネシア等)でも感染者が激増している現状、気温と感染拡大の相関は「あまりなさそう」である、というのが正直なところか。感染症の専門家も、今次コロナ禍がいつ終わるのか、誰しもが断定できる状況ではない。 しかし私たちは、過去に目を転じて、過ぎ去った厄災の軌跡から現在にその教訓を汲み取ることはできる。ちょうど100年前に全世界的に流行し、世界人口の約1/3にあたる5億人が感染。そのうち2000万から4500万人の命を奪った「スペイン風邪」のパンデミックは、私たちに様々な知見を与
昨年12月、中国より拡大した「武漢ウイルス」は約187国・地域に広がり、感染者は480万人を超えて、31万人以上の命が奪われました(数字は5月19日時点)。これほどの人的被害の発生は第2次世界大戦以降で初めてです。最大規模の「人為的ミス」による災難と言えます。中国と最短で幅約130キロの海峡を隔てたところに位置する台湾も大きな被害は免れ得ないところでした。ただ、蔡英文政権が迅速な対応策を取ったことで、感染拡大の抑え込みに全体としては成功しています。(寄稿、台湾総統府・最高相談役=蕭新煌) ▽SARSの教訓 成功の背景として次の3つを挙げます。 ①2003年に中国を発生源とし、台湾でも多数が死亡した重症急性呼吸器症候群(SARS)を教訓に、台湾の疾病管制署が昨年12月31日から武漢発直行便の検疫を強化するなど、蔡政権は早い段階から防疫対策に取り組みました。②蔡政権と多くの台湾人は、SARSの
巨額の金融緩和による、マネーが行き場を探している 世界は早くも経済活動を再開し始めています。アメリカでは4月の失業率が14.7%と戦後最悪の数字となったにもかかわらず、株式市場では株価が大幅に上昇しています。この実態経済と株式市場の乖離かいりは不気味ではありますが、各国が行っている、巨額の金融緩和による、マネーが行き場を探しているという見方ができます。新型コロナにより、大きなダメージを受けた世界経済を「金融市場」が引き上げる可能性が高まっています。虚構と言われやすい「金融」ですが、金融により経済を持ち上げることができれば、経済不安から自ら断つ命も救えます。アフターコロナで生き抜く未来を、必死で各国の中央銀行が描いているのです。
日本の新型コロナウイルス対策は「PCR検査が少ない」「自粛措置が甘い」などの批判もあり、厚労省は8日、感染の有無を調べるPCR検査や治療に向けた相談・受診の目安を見直し、公表した。ただ、欧米諸国に比べて、日本の死者数や死亡率がケタ違いに少ないのは厳然たる事実である。この謎について、京都大学大学院医学研究科の上久保靖彦特定教授と、吉備国際大学(岡山県)の高橋淳教授らの研究グループが「日本ではすでに新型コロナウイルスに対する集団免疫が確立されている」という仮説を発表して注目されている。感染力や毒性の異なる3つの型のウイルス(S型とK型、G型)の拡散時期が重症化に影響したといい、日本は入国制限が遅れたことが結果的に奏功したというのだ。
これから書くことはほとんど、これまでも繰り返し申し上げてきたことと変わりない。が、同じ質問は繰り返し受けているので、再度申し上げる次第である。なお、海外からも同様の問い合わせが多いので本来であれば英語でも同じ内容の文章を用意すべきだが、時間の関係で割愛させてください。Chromeかなにかでそれぞれ母国語に訳してお読みいただけると幸いです。なお、本稿は特に感染症学の基礎知識やジャーゴンを知らなくても読めるように工夫はしているが、それなりに難解な内容だ。その点はご容赦いただきたい。 日本のCOVID-19報告数が諸外国に比べて非常に少ないことに内外から注目が集まっている。あれは本当なのか。検査数が少なすぎて、実際の感染者数を見誤っているのではないか、という指摘がある。 しかし、この指摘はいろいろなレイヤーにおいて間違っている。そもそも、日本はCOVID-19の全数把握を目指していない。行政検査
3月19日に新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が開かれ、「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」が出され、以下のように報道されています。 現状は何とか持ちこたえており、拡大防止の取り組み強化が必要だとする一方、感染が確認されていない地域では学校活動や屋外スポーツなどの再開も奨励した。政府は、臨時休校などの自粛要請の一部を解除する方針だ。 出典:爆発的拡大「オーバーシュート」警戒 都市部の増加踏まえ、政府専門家会議が新見解 これを読むと、一見「対策は上手くいっていて、自粛も解禁して良いんだな」と思ってしまわれる方もいらっしゃるかもしれません。 こころなしか都内も自粛ムードがやや緩んでいるような・・・しかし、この専門家会議のメッセージは「自粛解禁OK」ではありません! 新型コロナ患者が報告されていない、あるいは報告数の少ない地域についてはリスクの低い活動から徐々に解除することを検討
中国の1000万都市である武漢で猛威を振るっている新型コロナウイルスであるが、中国政府による強烈な都市封鎖が実施されており、いまのところ武漢以外で次々に犠牲者が出ているという状況ではない。この原稿を書いている時点で、確認された新型コロナウイルスの感染者数はおおよそ65,000人、死亡者数は約1,400人である。そのほとんどが武漢と周辺の都市である。中国本土外では2位が横浜に停泊して乗客が隔離されているダイヤモンドプリンセス号での200人以上の感染者と合わせ、約300人に達した日本、次がシンガポールと香港でそれぞれ約60人である。これだけ見ると、武漢への封じ込めが上手く行っているように見える。しかし、それは大きな間違いであり、いま世界の大都市、とりわけ東京や大阪で水面下で新型コロナウイルスが広がっている、というのが筆者の見立てである。そして、筆者を含め、多くの識者がこのウイルス禍を過小評価し
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