大阪府教委は25日、大阪市淀川区の民家「渡辺邸」の府文化財指定を解除すると発表した。2年前に相続した現在の所有者が、多額の相続税を支払えず、建物を解体して土地の売却を決めたのが理由。文化財保護課によると、焼失や破損で文化財指定が解除されることはあるが、「相続税を理由に、指定を解除するのは珍しい」としている。 渡辺邸は、約2500平方メートルの広大な敷地に、江戸時代初期に建てられた、母屋や土蔵などが立ち並ぶ豪農の屋敷。昭和40年に府文化財に指定された。 平成22年、前所有者の死去に伴って現在の所有者が土地と建物を相続したが多額の相続税が支払えず、建物を解体した上で土地を売却することを決め、文化財指定の解除を申し出た。 昭和44年施行の府の文化財保護条例は、所有者に保存義務を課しているが、渡辺邸が文化財に指定された40年当時の規則では、保存の義務規定がなく、所有者が希望すれば指定を解除すること