2012/4/310:17 普遍的価値の擁護者としての「極右」―― リベラリズムのアイロニー 吉田徹 ヨーロッパの政界で「極右」が話題にならない日はないといってよい。主要なものだけを数えても、EU27カ国で20以上もの極右政党が存在しており、各国の国政選挙でも、ときによって20%近くの得票率を得るまでの存在になった。 「極右」というと、いまだに、スキンヘッドで部屋にナチスのハーケン・クロイツを掲げた愚連隊崩れというイメージで語られることが多い。そうでなくとも、たとえば最近では『ミレニアム1ドラゴン・タトゥーの女』(スティーグ・ラーソン)で描かれたように、ナチスだった経験を持つ年老いたファシストの集まりといった認識も根強い。 こうした描写はまったく間違いだというわけではないが、もはや「ファシスト」や「ネオナチ」といった形容詞でもって極右を語るのは、ミスリーディングという以上に、間違いに違い。