発達障害に気づかないまま社会に出た若者の就労支援が、自治体で課題になっている。支援には何が必要なのか――。専門家によるネットワークづくりを今月からスタートした東京都世田谷区で、職に就いた男性のケースから考えた。 「ここまでできるとは」 文部科学省は、小中学校の通常学級にいる発達障害児は全体の6・5%(2012年)と推測する。卒業後の就労状況などのデータはないが、職が得られない人も少なくないとみられる。就職できても周囲の理解がないとトラブルになり、退職を余儀なくされるケースもある。 社内外から集まった郵便物を仕分けし、合間に顧客ファイルの貸し出し、返却といった業務をこなしていく。発達障害がある世田谷区出身の男性(34)は昨年6月から、千代田区霞が関の「EY税理士法人」の総務部で働く。 アルバイトから始め、2月からフルタイムの契約社員に。「ここまでできるとは思わなかった。職場が楽しい」。男性は