錦織圭選手の全米オープン準優勝の熱狂が伝染したかのように、僕の下半身が疼き出したのは、夕刻、妻が義妹と会うために外出したときだ。 《妻の寝室にある60インチ液晶テレビでアダルト作品を堪能する。擦り減るまでこする》そんな、使命感とも、義務感ともつかない、青い衝動に突き動かされた僕は、シャツを脱ぎ捨て、今から執行される背徳な行為にまるで西野カナの歌のように震えた。何も悪くない。妻の留守に、妻の部屋の液晶テレビの前で裸になり、おおかたの日本人がそうするように、ワンオペでするだけだ。 妻の帰りは午後9時。4時間あった。まず気持ちを落ち着けるために録画しておいたエヴァンゲリオンQを見た。それからBlu-rayプレイヤーにアダルトDVDをセット。無駄な寸劇を、前戯を省略するようにエキサイティングなシーンまで早送りしてフォー!イッツショータイム!フォー!テンションを上げブリーフパンツを下げた瞬間、呼び鈴