店の中をぐるぐると歩き回っているうちに、これはもしかしたらとんでもないことが起きるのではないかという予感がしてきた。日本海に面した東北の港町、山形県酒田市の中心市街地で、一度は店をたたむことが決まった百貨店が「奇跡的」とも言える復活を遂げそうな気配なのだ。 日本の地方都市の中心市街地が空洞化し、衰退している。自動車社会の進展に伴い、各地で郊外に大型ショッピングセンターが建てられたことが原因の1つだと言われる。客をつなぎとめられなかった商店街は、どこもかしこもシャッター通りと化していった。 地方都市にある百貨店も、息絶え絶えの状態である。長引く景気低迷や消費の多様化などの影響で、百貨店そのものに消費者が足を運ばなくなっている。日本百貨店協会の発表によれば、2011年の全国百貨店売上高は6兆1525億円で、15年連続して前年実績を下回っている。実際に、毎年のように地方都市の百貨店が閉店するニュ