官民ファンドの産業革新機構が日本の大手メーカーと共同で、半導体大手ルネサスエレクトロニクスを買収する案が浮上した背景には、日本の製造業全体の競争力低下への危機感がある。家電業界は売り上げ規模で韓国勢に抜かれ、自動車も激しく追い上げられる。ルネサスが米投資ファンドに買収されれば、自動車や家電の基幹部品となる半導体の技術流出や調達不安につながり、危機はさらに深刻化することが予想される。官民を挙げた異例の支援で、日本の製造業を死守する覚悟を示した格好だ。 経営不振のルネサスは「会社を残す方法を選んだ」(赤尾泰社長)結果、今後3年間で国内10工場を売却または閉鎖することを決めている。すでに米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が約1千億円で買収する方向で交渉中だ。 ただ、投資ファンドであるKKRは、リストラなどで収益性を高めたうえで、ルネサス株を転売するのが目的。関係者らによる