認知症患者による交通事故への不安が高まっている。大阪府警が独自に調べたところ、認知症が疑われるドライバーによる死亡事故が今年は5件起きていた。「認知症800万人時代」と言われるなか、今後も増える恐れがある。■大阪、今年は死亡事故5件 「前の車はヤクザじゃないか。逃げなきゃ」 2010年秋、山口県の中国自動車道。夜間に大阪の自宅から鹿児島へ向かっていた男性(77)は突如こう思い込み、Uターンして逆走を始めた。通報により付近のインターチェンジは閉鎖。サービスエリアでまどろんでいるところを警察官に発見された。 男性は大型の運転免許を持ち、以前は観光バスの運転手もしていた。07年ごろにアルツハイマー型認知症と診断されていたが、妻は「運転は大丈夫」と思っていた。男性は「自分がどこを走っているのか、頭の中がぼうっとなってしまった」と当時を振り返る。