米格付け会社ムーディーズによる日本国債格下げについて、金融業界では「あれは財務省が仕掛けたもの」との臆測が広がっている。 財務省は今年10月に消費増税を実施するよう安倍晋三首相に働きかけてきたが、それは聞き入れられなかった。そのため、「10%への増税を約束期限にきちんと実行しないと、日本国債の信認を失う」と主張してきた財務省が、増税延期の影響を深刻に見せるために「早期の格下げをムーディーズ側に促した」(市場関係者)とみられているのだ。 14年12月1日、ムーディーズが日本国債の格付けを従来の「Aa3」から「A1」に一段階引き下げたのは、同年4月に消費税を5%から8%に引き上げたことで景気が停滞しているのに加え、再増税延期によって日本の財政に対する信認が揺らぐ可能性がある――と判断したためだ。一方で、「日銀が国債を大量に購入しており、当面は債券市場には影響はない」とも判断し、先行きの見通しは