開幕したソチ五輪のフィギュアスケートに出場する高橋大輔選手(27)が9日、現地入りする。 「ソチでは楽しんで下さい 父」「最後の夢に向って楽しんで おかん」――。高橋選手の地元・岡山県倉敷市の知人らが今回の五輪のためにつくった寄せ書きには、身を削って息子の夢を支えてきた両親の言葉も添えられていた。 高橋選手は、とび職の粂男(くめお)さん(68)、理容師の清登さん(64)夫婦の四男として、倉敷市で生まれた。自宅は家賃3万7000円の平屋建ての借家。決して裕福ではなかったが、温かい家庭で育った。 気弱で優しい4人兄弟の末っ子の「大ちゃん」は、小学校ではいじめっ子の格好の標的。友達のかばんを持たされ、よく泣きべそをかきながら帰ってきた。自分で解決させようとした両親は「また泣かされたの?」と言っただけで、あえて突き放した。小学2年から始めたスケートは、嫌なことを忘れられる「逃げ場所」だったという。