論説委員にとって「夢」というのは、ひょっとすると最も縁遠いものかもしれない。 政治、経済、社会、スポーツなどさまざまな分野で起きている事象を捉えて「主張」(社説)を書くのが主な仕事だから、そこではあくまで現実を見据えた論述が要求される。将来の展望も現実に立脚したものでなければならない。「夢のような話」を書く機会などほとんどないも同然である。 しかし、めでたい正月だ。江戸の昔なら、宝船の絵でも枕の下に敷いて吉夢を見るのが習わしだった。正月の遊びの凧(たこ)揚げも、子供が大きな夢を持つようにと大空を仰がせたのだとか。 そこで6人の論説委員には普段の理屈っぽい話はさておいて、正月らしく「初夢」を大いに語ってもらうことにした。 「人」に「夢」と書けば「儚(はかな)い」になる? いやいや、人はこれまで、無数の夢を現実のものとしてかなえてきたのではなかったか。「夢の超特急」と呼ばれた東海道新幹線も、東