自己の意思で覚せい剤を摂取したことはないと供述し,尿から覚せい剤反応が出た原因として思い当たるのは平成11年2月9日又は11日の午前零時を過ぎたころ,内縁の夫甲の友人で覚せい剤常用者である乙が被告人宅を訪ねてきて,性関係を迫ってきたため,乙の陰茎を口に含んでその精液を飲んだことぐらいであると供述し(中略)ている。 しかしながら,これらの供述は,いかにも場当たり的で,内容自体が不自然,不合理である上,乙は,警察官調書において,平成11年になってから被告人宅を訪ねたことはなく,ましてや被告人に精液を飲ませたことはないと被告人の供述を全面的に否定しており,また,警視庁科学捜査研究所薬物研究員の丙の原審証言によると,尿から覚せい剤反応を検出するのには20リットルの精液が必要であって,現実には精液を飲んだことが原因で尿から覚せい剤反応が出ることはあり得ないというのであって,この説明に疑問とすべき点は