クロマグロの「完全養殖」事業を手がける大手商社の豊田通商と近畿大学は16日、稚魚の生産を大幅に増やすと発表した。卵を孵化(ふか)させて稚魚に育てる施設を長崎県内につくり、2019年度には生産量を7割余り増やす。クロマグロはすしネタなどに使われる高級魚で、資源保護のための漁獲規制が強まっている。増産で「持続可能な養殖事業」を拡大する考えだ。 クロマグロはストレスに弱く養殖が難しいが、近大水産研究所が02年に、世界で初めて卵から成魚に育てる「完全養殖」に成功。豊田通商と提携し、稚魚を幼魚に育てる事業を10年に同県五島市で始めた。 稚魚をつくる作業は近大が和歌山県内などで自前で行っていたが、この部分も豊田通商が事業化することで合意した。具体的には、五島市の福江島に新施設を建設。今後6年間で15億円を投じ、19年度に年30万匹の稚魚をつくる計画だ。 生産能力は今の年40万匹から… こちらは有料会員