脳というのはこの世で最も複雑で美しい構造を持っている。神経学博士であるグレッグ・ダン氏はある日を境に、この脳という物質を描くアーティストになろうと考えた。 彼が初めて顕微鏡で見た枝分かれする神経は、これまでに見たこともない美しさを秘めていたという。それはまるで彼が日頃から崇拝していたアジアン・アートのようだった。その後、ダン氏は神経を墨絵という方法で模写する事を思いついた。 「顕微鏡で見える世界はアジアン・アートの世界に通ずる。林の木々を描くのと、脳の神経細胞を描く事は非常に良く似ているのです。」とダン氏は語る。 皮質柱 この画像を大きなサイズで見るアルミ製の板に21K、18K、12Kの金・インク・雲母 ダン氏の初期の作品の多くは非常に精密で細かい色彩が目立つ。彼は自らの手で、顕微鏡で見た神経を絵画に描いていくのだ。「この枝分かれのすばらしさと来たら、禅の素晴らしさに通ずるものがあります。