眼鏡の街、福井県鯖江市の小さな会社がつくった老眼鏡が、欧州を驚かせた。100分の1ミリの精度で生み出した、折りたたんだときの厚さは、わずか2ミリだ。その名は「ペーパーグラス」。「いずれは世界的なブランドに」と、夢はふくらむ。 「こんな老眼鏡、見たことがない」「いつから海外で売るのか」「今すぐ使いたい。展示品でもいいから売ってほしい」 ファッションの都、イタリア北部ミラノ。1月、日本の経済産業省などが設けたショールームで、西村プレシジョンの西村昭宏社長(35)は、現地のバイヤーから質問攻めにあった。 社員3人の同社にとって初の海外出品だった。 イタリアは13世紀に眼鏡が生まれた地とされ、今も中国、日本と並ぶ生産国だ。世界最大手の眼鏡企業ルクソティカもある。本場での高評価に「イタリアで認められれば、世界ブランドの一つになれる」と西村社長は意気込んだ。