冷戦と呼ばれる人類史上最も受動攻撃的な戦争において、アメリカとソ連(現ロシア)は宇宙開発でしのぎを削っていた。とはいえ対象は未知なる宇宙である。様々な悲劇的事故も起きた。社会主義国であったソ連は、宇宙開発におけるあらゆる失敗を国民に知らせることはなかったという。 そんな中、1本の音声テープの存在が明らかとなった。真偽のほどは定かでないが、1961年5月に起きた事故の際の、女性宇宙飛行の最期の声だと噂されているものだ。テープには、絶望的になりつつある状況下で通信を試みるロシアの女性宇宙飛行士の音声が録音されている。 船内から空気が漏れるかのような音がし、パニックをきたす女性宇宙飛行士の音声が聞こえる。この通信を最後に記録が途絶えたが、ソ連政府から彼女の死を告げる公式発表はなされていない。 これが本物の記録であれ、ただの作り物であれ、悲痛な声を耳にした者の背筋を凍りつかせるものであることは間違