経営思想家として大学やコンサルタントとして活躍しているリチャード・P・ルメルト「良い戦略、悪い戦略」の続編。似ている部分もありますが、前著がどちらかというと戦略の良し悪し、というところにフォーカスしていたのに対して、より悪い戦略に陥らない考え方や、より具体的によい戦略をつくる方法、などまで踏み込んでいます。その中で、特に繰り返し出てくるのが、戦略策定と目標設定の違いについてです。 戦略の策定とは、単なる意思決定ではない。意思決定の場合、とりうる行動の選択肢があらかじめリストアップされていて、その中から選ぶことが想定されるが、戦略を立てるときはそうではない。まずは課題の特定から始まる。また戦略策定と目標設定はちがう。戦略は組織が直面する課題から始まるのであって、先に最終到達地点としての目標を設定するのは順序があべこべである。戦略を立てると言いながら実際には目標を立てている人は、誰かがどこかで