2012/5/299:0 3.11以後の世界とSF第一世代の可能性(1) 新城カズマ×稲葉振一郎×田中秀臣 想像を超える自然災害、急激に変貌する経済の動向、日常生活が直面する先の見えない不安。東日本大震災以後、私たちの想像力と論理的思考の成果と限界とが問われて続けている。 SFというものは、人間の思索(Speculation)の限界に挑戦し、その限界を拡張する試みだといわれている。例えば、多くの日本人は日本を代表したSF作家小松左京の『日本沈没』のエピソードのいくつかを、今回の大震災においても想起したに違いない。それは小松の世界観の強度を改めて私たちに認識させると同時に、また私たちが(小松でさえも予想しなかったような)新しい環境に直面していることをもいやでも認識する出来事だったろう。 今回の座談に集まった私たち三者は、小松左京を中心に、日本のSF「第一世代」といわれる作家たちの業績を振り返