東京電力福島第一原子力発電所事故により放射能に汚染された福島県の高線量地域で、効果の疑わしい除染技術の試用を求める依頼が相次いでいる。環境省の実証事業で不採用となった業者が直接、地元自治体に働きかけており、「被災地で実験中」などと宣伝するケースもある。実害が確認されていないことから、消費者庁も対策を取れないでいる。 「一目で効果がないとわかる怪しい除染技術が多い。被災地を食い物にするのはやめてほしい」。福島県大熊町の石田仁・環境対策課長は憤る。原発事故後、業者からの依頼が50件以上あったという。町はこのうち10件程度について情報収集し、先月は微生物を使った技術など2件の除染を実際に試してみたが、効果は確認できなかった。 持ち込まれる技術の大半は、環境省が公募している実証事業に申し込んで不採用となったものだ。業者は大学教授や政治家の名前を出し、「現代の科学では説明できないメカニズム」などと説
デニス・ノーミル(Dennis Normile) 原文:Insistence on Gathering Real Data Confirms Low Radiation Exposures (Science 10 May 2013: Vol. 340 no. 6133 pp. 678-679) (翻訳 山形浩生) 東京: 2011年3月、福島第 1 原子力発電所での惨事が展開する中で、早野龍五は放射性物質の放出についてツイッター投稿を始めた。この東京大学素粒子物理学者は、次第に地域住民の被曝をめぐる論争にますます深く引きずり込まれるようになっていったのだった。当局がきちんとした事実を提供していないことに失望した早野は、学校給食の放射性セシウム検査を始めた。これは福島周辺の環境で最も量の多い放射性核種だ。そして、汚染食物を食べることで地元住民がどれだけ放射性核種を吸収しているか計測しようとし
inside 産業界・企業を取り巻くニュースの深層を掘り下げて独自取材。『週刊ダイヤモンド』の機動力を活かした的確でホットな情報が満載。 バックナンバー一覧 福島県内在住者の内部被ばくが、チェルノブイリなどの世界的な事例と比べても遙かに低いことを裏付ける論文が発表された。東京大学大学院理学系研究科の早野龍五教授が県内で住民の内部被ばく検査の支援をしている医師らとまとめ、日本学士院の英文論文誌、Proceedings of Japan Academy Series B89でオンライン発表した。福島第一原発事故後に、福島県内で生活している住民が、毎日の食事からどの程度内部被ばくしているかの実情をまとめた英文査読論文としては、世界でも初めてのものとなる。 明らかになったのは、「福島県内の土壌の汚染から危惧されていた内部被ばくのレベルよりも、住民の実際の内部被ばくの水準はかけ離れて低く、健康に影響
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