米メディアによると、映画「オッペンハイマー」の興行収入が全世界で9億1200万ドル(約1350億円)を超えた。「原爆の父」として知られる米国の物理学者ロバート・オッペンハイマー(1904~67年)の歩みを描いた作品だ。伝記映画では過去最高の興行成績だという。ただし、日本での公開予定はないようだ。人気の一方で、すっきりしないギャップが生まれている。(曽田晋太郎)
<「原爆の開発に成功すれば多くの日本人が命を失う。だが失敗すれば他国が原爆を手に入れる」──映画『オッペンハイマー』を日本人こそ見るべき理由> 社会も個人と同様、心に深い傷を残す出来事を経験すると、それに関連する物事に対して嫌悪の感情を抱くようになる。そうした心理は世代を超えて続く場合もある。実際、ユダヤ人の中には、ナチスによるユダヤ人大量虐殺から80年たった今でも、ドイツを訪れたり、ドイツ製品を購入したりすることを避けている人たちがいる。 日本の社会も、少なくとも1960年代以降は自分たちを広島と長崎への原爆投下による惨禍の犠牲者と位置付けてきた。心の傷は今も生々しく、核兵器について議論するだけでも気分を害する人たちがいる。 この夏、「原爆の父」と呼ばれる物理学者のロバート・オッペンハイマーに光を当てた映画『オッペンハイマー』がアメリカで公開された。映画館では映画が終わった後、私を含む多
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