最近よく「映画史に残るラストシーン」という宣伝を見る。本当かよ……と突っ込みたくなる乱発ぶりだが、本当に映画史に残るラストといえば、やはりあの1本だろう。 99年作品の『DEAD OR ALIVE 犯罪者』である。 全盛期の竹内力と哀川翔が共演した日本映画史に残る伝説の1本だが、公開当時に大阪ディープゾーンとして知られる新世界国際劇場に本作を観に行ったら、お世辞にも綺麗とは言えない劇場内は意外にも女性客の方が多かった。邦画冬の時代にもかかわらず、公開前からあらゆる雑誌で「衝撃のラスト!」と絶賛されていたからだ。 90年代末、情報収集の方法といえば、まだPCやスマホより雑誌や新聞が主流だった。NTTドコモでiモードのサービスが開始されたのが99年2月(イメージキャラクターは広末涼子)、内蔵型カメラ付き携帯がJ-PHONE(現ソフトバンクモバイル)から発売されたのが翌00年11月のことである。
映画は嘘をつく。なぜか。観客に嘘を真実だと思い込ませるためである。映画『ボヘミアン・ラプソディ』(ブライアン・シンガー監督、2018年)はきわめて巧妙にこの逆説を生き抜いている。 【動画】「ウィ・ウィル・ロック・ユー」の誕生を描いた本編映像 筆者は特別熱心なクイーンのファンというわけではない。正直に言えば、『ボヘミアン・ラプソディ』を鑑賞している間、「聴いたことはあるけれど、これもクイーンの曲だったのか」という体験を何度もした。そして、気がついたときにはすっかりこの映画に夢中になっていた。 それでは、この映画の何にそれほどの魅力を感じたのか。クイーンの音楽そのものに人を惹きつける魅力があることは言うまでもないだろう。この映画に批判的な見解を示す人の多くも、クイーンの音楽を否定しているわけではない。むしろ、コアなファンほど、史実の改変や脚色を施された映画の物語を問題にしているように思われる。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く