「ウルトラマン」の特撮現場で撮影助手を務めていた中堀正夫(73)が、初めて実相寺昭雄に出会ったのは、第14話「真珠貝防衛指令」の時だった。実相寺は本来、人間が演技をする「本編」の監督。「本編の監督で特撮現場に顔を出す人は、ほとんどいませんでした」 実相寺は、真珠が大好物という設定の怪獣ガマクジラの演技が気に入らないという。そしてスーツアクターに言った。「おまえ、今の全然だめだよ。女が真珠に思いを寄せる気持ちわかるか。そういう気持ちでやってくれよ」 スーツアクターの男性は黙ってうなずいていた。「だけど、わかるわけないじゃないですか。ねえ」と中堀は笑う。「だって怪獣にそんな気持ちがわかったらおかしいでしょ」 変な人だと中堀は思った。けれ… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 この記事は有