白い杖(つえ)を体の前に高く掲げ、立ち止まる人がいたら何を意味するか、ご存じだろうか。視覚障害者が助けを求めるポーズで、「白杖(はくじょう)SOSシグナル」と呼ばれる。考案されて四十年近くがたつが、一般に知られておらず、障害者団体は普及に本腰を入れ始めた。九日まで「障害者週間」。 (荘加卓嗣) 「いつもと逆の方向に向かったら迷ってしまった。ちょっと困ったな」。七月の夕方、東京都新宿区内。団体職員小川敏一さん(34)=埼玉県富士見市=が白杖を掲げ、歩道に立ち尽くしていた。 生まれつき弱視だった。右目は光を感じる程度。左目は矯正しても視力が0・03で、視野欠損がある。それでも週に五日、福祉器具を販売する新宿区内の職場に一人で通っている。電車を乗り継ぎ、一時間弱の道のりだ。
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