軍事的な才覚では、跡継ぎとして父ヌルハチの期待に恥じない 堂々たる働きを見せてきたタイシャンである。 戦場での「いけいけどんどん」の猪突猛進では、鬼神のごときカリスマ性を発揮し、 兵卒の一人一人に至るまで戦いに駆り立てる魔力を持っていた。 ところが一たび複雑な権力闘争の場で、目に見えない謀略を相手にする場合は、 どうやらあまり健闘したとはいえないようである。 チュインが誅されてから、タイシャンはヌルハチの息子らの中では最も年長であり、 大福晋を生母に持つ、文句のつけようがない後継者であった。 ……中原王朝の思考からいけば。 網の目のように張り巡らされた官僚機構により、 皇帝があほたれえでもまったく国の機能に影響しないシステムの中では。 しかしまだ文字も持たない、勃興したばかりの女真族の中でその道理は通じない。 ヌルハチの他の息子らが、 タイシャンを引き摺り下ろし、自分が取って代わるチャンス
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