銀河系の中心にある超大質量ブラックホールの想像図。(PHOTOGRAPH BY NRAO, AUI, NSF) 天文学者たちは、ついにブラックホールの撮影に初めて成功した可能性がある。厳密に言えば、ブラックホールの本体ではなく、それを取り巻く「事象の地平線」と呼ばれる不思議な領域だ。ひとたびこの境界線を越えると、光さえブラックホールの魔の手から逃れられなくなる。(参考記事:「星を食らうブラックホール」) 5夜にわたった最後の観測が終わったのは午前11時22分。米マサチューセッツ工科大学ヘイスタック観測所のビンセント・フィッシュ氏は、満足した様子でオフィスの椅子に腰を下ろした。この1週間、彼は24時間体制で仕事をしていて、睡眠はこま切れにしかとっていなかった。もちろん、仮眠をとるときには、大きい音でアラームが鳴るように設定した携帯電話を横に置いていた。 やがて最後の観測データが届き、電波天文