敗戦直後、混乱する旧満州(中国東北部)で、満蒙開拓団の幹部から指示を受けて旧ソ連兵に「性接待」をした……。90歳前後の元団員女性たちの告白が、衝撃を与えている。当時、何があったのか。70年間、性暴力被害は、なぜ秘められてきたのか。証言活動を支える、戦後生まれの岐阜県の黒川分村遺族会会長、藤井宏之さん(66)に聞いた。 ――90歳前後の女性が「性接待」を告白する。ショックです。 「私が暮らす岐阜県の旧黒川村(現在の白川町)を中心に1941年以降、600余人の黒川開拓団が吉林省陶頼昭に入植しました。当時の村長は県議会議長も務めた人で、不況で疲弊した村を救おうと国策に協力したのでしょう。終戦直後、多数の現地住民に襲撃されました。食料も武器もなく、隣の開拓団は全員自決。『明日は黒川開拓団だ』と声が上がったそうです。その時、近くに駐屯するソ連軍部隊に助けを求めたところ、代償を求められ、17歳から21