何をいまさら万年筆――21世紀の今、万年筆を購入することは、まずその問いに答えることから始めなければなるまい。100~200円も出せば実用面では十分なボールペンを買えるにもかかわらず、それを何百本も買える金額をはたいて万年筆を買い求めるには、それなりに自分を納得させる理由が必要だからだ。 もちろん「サインぐらいはせめて万年筆」派というものは、以前から数多く存在した。だが、最近の傾向は、明らかにそれを超えたものだ。あえて言えば「自己表現の具」としての万年筆である。メーカー側もその変化を敏感に感じ取っており、安価な製品ラインからは万年筆を外し、ある程度、メーカーの個性を打ち出せるレベルのグレードから、製品を展開するようになっている。 また、万年筆の黄金期といわれる1920~1950年の製品を復活させようとするイタリアなどの新興メーカー(むしろファクトリー=「工房」と呼んだほうがよいかもしれない
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