宿場の名を刻んだ石や植栽が設けられ、市民の健康づくりと憩いの場になっている「ミニ中山道」=中津川市本町4で 中津川市役所近くからJR中央線手前の市街地までを、中津川右岸に沿うように遊歩道が結んでいる。800メートル余りと散策に手ごろな距離で、市民には「ミニ中山道」として親しまれている。かつて、ここには線路が敷かれ、中津川上流の製紙工場に原料の木材を運ぶ列車が走っていた。 中央線が当時の中津駅まで開通した6年後の1908(明治41)年、工業のまち・中津川の先陣を切り、中央製紙が操業を始めた。当時の中津駅から工場に延びる約4キロの軽便軌道が設けられ、馬やガソリンカーがトロッコを引いた。戦後間もなく、輸送力増強のため、通常の線路幅と同じ「専用側線」に昇格し、動力は蒸気機関車に変わった。 工場のある尾鳩地区で過ごし続け、現在は区長を務める酒井孝行さん(63)にとって、木を運ぶ貨車は懐かしい存在だ。