筆者、三浦小太郎氏は正真正銘の人権活動家である。本書を読んでそう思った。筆者は、北朝鮮の人権問題や脱北者の支援活動などに取り組む一方で、評論活動も行っている。本書は、筆者がさまざまな雑誌に寄稿した文章を集めたものだ。 それゆえ、ひとつひとつの章で取り上げているものは異なるが、本書を通じての一貫したメッセージは、党派性あるいはイデオギーを超えた人権の追求にあると私は思う。さきほど私が筆者のことを正真正銘の人権活動家だといったのは、そういう意味である。「人権活動家」というと、やもすれば左派的イデオロギーを込めて使われがちだが、そうした党派性を乗り越えた人権の概念、そして人権活動の必要性を筆者は説いている。 それを端的に表しているのが、「姜尚中批判 偽善的平和主義を批判する」という章だ。筆者は、党派性にとらわれることは知識人としての自殺であると断言する。その上で、北東アジアの平和を求め、平和を余