景気の苛烈な悪化を受け、平時であれば採用しえない手段を含めて対策のアイデアが必要といわれる。相続税を減免した無利子国債の発行を財源に、景気対策を実施すべきという意見はその一つだ。景気対策の効果や税の公平性の問題はさておき、当該国債はどんな規模で発行を見込めるのだろうか。それが明らかでないと、政府の財源調達手段と位置づけることはできない。また、無利子とはいえ、負担すべきコストが本質的にない借入はあり得ない。 当該国債は、タイミングが不確実な死亡により発生する相続税減免の価値が、他の資産の期待運用益を、インフレリスクを考慮した上で上回ると計算できた個人によってのみ購入されるだろう。従って、よほど異常な高金利でない限り、通時的な意味で財政収支の悪化を一義的に伴う国債といえる。政府の立場からは、まず、それを甘受してでも得られる国民全体の利益が大きいならば、検討の余地ありということになる。 発行はど
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