ある時は大学で身体動作の研究者。ある時はバンド「かえる目」のボーカリスト。 またある時はえーとパノラマや立体視や絵はがきについてめちゃくちゃ詳しいおっさん! かえるさん=細馬宏通さんの待望の連載です! 歌のしくみ 第1回「サンバがサンバであるからには」 こんにちは。細馬といいます。 人の動作のことを考えたり、歌をつくってたりしています。 動作のことを考えるときも歌のことを考えるときも、そのしくみのことが気になっています。動作や歌は、機械とは違って、空間の中に最初からすべてがどんとあるわけではない。時間の中にさっと現れて、ふくらみ、しぼみ、形を変えていきます。わたしたちは、動作や歌があたかも空間の中に線や面や立体を掃いていくように感じます。が、それは、わたしたちが、少し前の時間にあったことを覚えていたり、いまある形から次の形を予想することで、消えてしまったこと、まだ現れていないことを、まるで