よく読書が趣味ですなんていう人がいる。そうですね、良い趣味をお持ちです。わたしも本を読む。読むことは読むのだが趣味ではない。かといって仕事でもない。なんといったらよいのだろう。生活の一部といったらちょっと気障かな。でもほかに言い様がない。 本を読むことは他人の頭で考えるようなものだ、といったのはニーチェだったかしらん。まあそれはたしかにそうなのだけれども、なにぶんにもわたしにはそもそも考える頭がないもので、他人の頭だろうがなんだろうが、とにかく考えられればそれで良いと思っている。 最近出た本に『論理の哲学』というのがある。この手の素人向け出版物は人気があるのか、気が付くと書店に並んでいる。近頃ではフレーゲやゲーデル、ヴィトゲンシュタインの名もどうにか一般に知れ渡るようになってきた。とくにヴィトゲンシュタインなどはその人生あるいは個人的性癖の特殊性から、そして大学での講義の仕方からも、ちょっ