【ロサンゼルス長野宏美、松井聡】信念を貫き、リングの外でも闘いの連続だった。3日に死去したプロボクシング元世界ヘビー級王者のムハマド・アリさん。オバマ米大統領が「私たちのために闘ってくれました」とたたえる声明を出すなど、国内外から、その死を悼む声が相次いだ。 アリさんは1964年に世界王者に輝くと、黒人指導者のマルコムXらの影響を受けて黒人イスラム教組織に入ったことを発表。本名のカシアス・クレイは「奴隷の名前だ。私が選んだのではない」として、ムハマド・アリに改名した。 67年、ベトナム戦争への徴兵を信仰と反戦を理由に拒否。「私とベトコン(南ベトナム解放民族戦線)には争いはない」「他人の命を奪う戦争に行くより、刑務所を選ぶ」。タイトルは剥奪されたが、信念は守った。