日雇い労働者の街として知られる大阪市西成区の釜ヶ崎(あいりん地区)周辺が、「ジャズの街」として話題になっている。 立ち飲み屋で、おでん屋で、そしてバーで。夜ごと繰り広げられるプロの演奏家のライブには、地元の労働者だけでなく、遠方からも愛好家が訪れる。「人間ドラマにあふれた泥臭いこの街と、ジャズ。合うてると思うんや」。演奏家らはそう語り、今日も聴衆を酔わせる。 同区萩之茶屋にある立ち飲み屋「難波屋」。毎週水曜日の午後7時、店の片隅でジャズライブが始まる。日焼けした労働者、ライブ目当ての会社員、OL……。年齢も職業も、国籍までも様々な人たちが、「A列車で行こう」「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」といったスタンダードナンバーを楽しむ。演奏が終わると、客の間を小鍋が回る。「投げ銭」が西成流だ。 「あちこちのライブに行ったけど、今は懐具合も厳しいしな。でもここなら、少しのお金で堪能できる」。地元の男性(