『おとろし』 カラスヤサトシ 秋田書店 ¥630+税 (2015年7月22日発売) カラスヤサトシといえば、育児からカレーまで、自身の等身大の日常をユーモラスかつ自虐たっぷりにつづったギャグ・エッセイ・ショートの名手だが、そんな彼の新境地がこちら。 まさかのフィクション! しかも、まさかのホラー!である。 日本昔話の時代から昭和初期、そして現代までを舞台に、いわゆる幽霊妖怪の話というよりは、たんなる偶然の一致ともとれる人間の不安や妄想、理屈では説明できない不条理な事件や現象を描いた全24話。 読みながら思わず目を覆ってしまうような、これぞ!な恐怖シーンや描写はなく、つじつまがあわなかったり、最後まで謎が解き明かされないままの話も少なくないが、それがまた、妙にリアルで。 「あの世とこの世」「善と悪」「夢とうつつ」その境界をのぞき見たような後味の悪さに、読んだ後になって、漠然とした不安や恐怖が
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