同社の定置用大型LIB「HYバッテリー」は、正極材にオリビン構造のリン酸鉄リチウム(LFP)を使う。LFPは、スマートフォン向けに広く普及しているコバルト酸リチウムを使うLCO系や、電気自動車に使われているニッケル-マンガン-コバルト(NMC)系の正極材と比べて、動作電圧やエネルギー密度が低い。同社のLIBセルは公称電圧3.2V(NMC系は3.7~3.8V)、質量エネルギー密度は125Wh/kgとNMC系の半分程度にとどまる。 一方、LFPは充放電を繰り返しても電池容量が低下しにくい寿命の長さと、高い安全性が特徴だ。同社のLIBは1万7000回の繰り返し充放電後も、放電容量維持率70%を誇る(図2)。これは、家庭用の蓄電池としての利用を想定すると、20年以上の寿命が見込めるという。