東レは8日、濃度と流動性の高さを両立した極薄グラフェン分散液(写真)を開発したと発表した。電気自動車(EV)用電池の導電助剤に使った場合、カーボンナノチューブ(CNT)を使った場合に比べ、電池寿命が1・5倍向上する点を確認した。量産化の準備を進めており、2030年に100億円規模の売上高を目指す。 東レは、極薄のグラフェンを作製する技術を持つ。グラフェンは薄いほど塗布時の被覆性や他材料との混合性が高く、導電性やバリアー性を発揮しやすい。 一方で薄いほど凝集しやすく、濃度を高めると塗布や混合が難しいため、希釈して用いる必要があった。 このたび高分子材料を添加することで粘度を制御する技術を開発した。高濃度でも流動性が高いため、希釈する必要がない。 例えばリチウムイオン二次電池の導電材料に用いた場合、正極材料と混合しやすくなるため、導電性が向上する。充放電の際に伴う電池容量低下の抑制につながる。