ここにずっと住む事は無いだろう。今の仕事を続けるかもわからないし、相手もいないけど結婚するかもしれない。この街を出たいと思うような事が起きるかもしれないし、親だって、いつまで元気かはわからない。そんな、心配してもしょうがない不安と、私はここで暮らしているのだ。 goodroom 冷めたアパートという訳でもなく、あったかい家、みたいな雰囲気もないこの外観は、最初に見た時に妙に安心感を覚えたものだった。どっちにも当てはまりたくない私は、心の奥底でこの物件の事を気に入っていた。 でも借りるか借りないのか、そんなジャッジを突きつけられたくなくて、その事を表情には出すまいと平然を装う。黒い小さな文字で書かれた建物の名前をじっと見てから、不動産の人の後に続いて門をくぐった。 goodroom お仕事は何されてるんですか、とか、西荻は人気ですからね、とか。行き所のない言葉が宙を舞っている。 私は渡された