まるで別の世界に 迷い込んだみたいだ。 ここに暮らし始めてから、 毎日のようにそう思ってる。 ふと気づいたら 私の手の中にはなにもなくて、 あれ?これからどうしようと 慌て始めたときに彼女が言った。 「とりあえず、うちに来れば」 そうして始まった共同生活は、 夢のようで、幻のようで。 私が過ごしていた世界とは まるで違う華やかさに、 頭がクラクラしてくる。 彼女はそんな私を見て、 「いつも通りでいい」と言う。 いつも通りでいいと言っても、 私の日常にこんなに洗練された エントランスはなかったもん。 緑はきれいだし、池もあるし。 こんなにおしゃれな集合住宅、 いったいどんな人が住むんだ… と考えたところで、 あぁ彼女みたいな人が住むんだと ひとりで納得した。 「部屋の中に階段がある! 一軒家じゃないのに!?」と びっくり仰天していたら、 「メゾネットタイプだから」と 彼女が教えてくれた。 メ