また出会えましたね。 銀月アパートメント様。 はっ!空室がある!と気付いても あっという間に埋まってしまう、 まさに、幻の、憧れの、アパートメント。 いつ、何時、何度見ても、 やっぱりうっとりしてしまう、この窓辺。 この角度から見上げる、その美しさに 何度ため息をついたことでしょう。 そして、銀月アパートメントという、 その名の響き! ぽつりと口にするたびに、 魔法をかけられるような、 異世界へ誘ってくれるような、 そんな想いに浸るのです。 世間では「月見」な食べ物たちが 人気を集める中で 私は、あの窓から、そっと 静かに月を眺めてみたいのです。 こんもりした緑の向こう、 見えそうで見えない、このもどかしさ。 あの紅い瓦の三角屋根。 庭を抜けた先、 そのとんがり屋根を正面にして、 私の動悸は激しくなるのでした。 隙間風も虫も通してしまうであろう、 キコキコとゆるい扉。 けれど、その十字に漏