「この前まで赤ちゃんだったのに」 こんな台詞、自分は言わないと 思っていたんだけどな。 つい口から出てしまうのは いっぱい思い出が詰まった 家だからかもしれない。 「ただいまー!」 小さな身体に 大きなピカピカのランドセルを背負って 仰け反りぎみで帰ってきた誇らしげな顔。 額にうっすら光る汗が、 走って帰ってきた証拠。 パタっとベンチを引き出して 泥だらけになった青い靴を脱ぎ捨てる。 「ちゃんと靴箱に入れてよね~」 「分かってるよ~」 ちょっとこもった声から シューズクローゼットに ちゃんとしまったことが分かる。 一番下が君の場所。 そういえば、 もう履かないと思って箱の中にしまって 棚の一番上に片付けたハイヒール、 そろそろ復活させてもいいかもしれない。 黄色い帽子や上着は リビング入ってすぐにある ウォークインクローゼットへ。 「君の場所はここだよ」って スペースをあげたら お片付けで