二十代半ばにしてやっとこ、そろそろ 実家を出ようかな、出たいな、と 思い始めて物件探しをし始めた矢先、 バイト先のギャラリーカフェで 一緒に働くT君に その話をしたら 「ちょうど相方と古い一軒家借りて 何人かで住もうかって話をしててさ、 今四人集まってんだけど、一部屋どう?」 なんて言って、その建物の外観写真を 見せてくれた。 「えっ、住みたい!めっちゃいい!」 古民家好きの私には茶色い板張りの家は どんぴしゃりすぎて興奮した。 そこからトントン拍子に話は進み、 翌月には実家の車で積めるだけの 荷物を積んで引っ越してきた。 大人しい父は興味深そうに 家のあちこちを写真に収め 「じゃ、体に気をつけて」 とだけ言い帰って行った。 部屋割りは全く揉めることなく決まった。 私の部屋は一番日当たりがいい、 二面彩光の二階の四畳半。 私以外、日当たりはそんなに気にしない という人たちだったので、即決だ