「帰るのめんどい」 「じゃ泊まってけば」 そう提案した日から、 少しずつ増えていく 彼女の私物。 化粧水がお泊まり用の ミニボトルから 大きなタイプになるころには、 日常に彼女がいることが 当たり前になった。 私は早起き、 彼女は朝に弱い。 リビングのソファで眠る 彼女の寝顔をチラリと見て、 私は毎朝会社に出かける。 一緒に寝ればいいじゃんとは、 まだ言えない。 思ってはいるけど。 私は早寝で、 彼女は夜ふかし。 「テレビの音とか 寝るとき邪魔でしょ」と 洋室の間仕切りを 閉められそうになったけど、 「うるさくていいから 仕切りは閉めないで」と 彼女に伝えた。 彼女がふらりとこっちに 眠りにくる可能性を、 少しでも残しておきたい。 小さく絞った テレビの音を聞きながら、 今日もひとりで眠る。 明るいこの部屋は、 彼女の雰囲気に合う。 明るくて社交的。 服装も今どきでおしゃれ。 私とは全然違